さて、 白山市サイクリングターミナル からサイクリングに出発です。
日本海を左手に見ながら進み、田んぼと住宅地を抜けて、まずは高速道路の金沢西インターチェンジ付近まで行きます。
高速道路を向こう側へ渡るには、道路の下に設けられた小さなトンネルを行くのですが、入り口が少しわかりにくいのと、かなり狭いトンネルなので走行には注意です。
うまく川まで抜けられたら、川沿いを南東へ走ります。
この川こそ、金沢を代表する犀川(さいがわ)。
金沢出身の詩人で小説家の室生犀星は、この犀川から一字をいただいたとか。
また、先月の特集で走った浅野川は「女川」、この犀川は「男川」と呼ばれているんだそうです。この夫婦のような2本の川には、嬉しいことにどちらもサイクリングロードが存在します。
犀川のサイクリングロードは、「男らしい」と言えば聞こえがいいのですが、路面が少々荒れています。それでも車の心配はしなくていいし、線路も橋も、基本的にはアンダーパスで抜けられます。
学校で室生犀星のことを習ったとき、なぜか犀川に憧れのようなものを持っていた私。
そこを、思いもかけず自転車で走ることになるなんて、「本当に運命って不思議だなぁ〜」と考えながら、その川沿いの風景を楽しんでいました。
正直言って、浅野川ほどステキな風景には出会えませんでした。庶民の生活の雰囲気が感じられる、平凡な景色です。でも、その何でもない景色の中を、まさか私が自転車に乗って旅をすることになるなんて。
自転車と一緒に出会った多くの経験に、いつも驚かされるのです。
ふるさとは遠きにありて思ふもの
そして悲しくうたふもの 室生犀星
川沿いを走り始めて5本目の橋(うち鉄道橋を1本含む) の「新橋」まで来たら、橋の手前で一般道へ上がりましょう。
目指すは金沢観光スポットのひとつ、にし茶屋街です。
[上] それほど距離はありませんが、にし茶屋街を自転車で駆け抜けるのは、なかなかオツです。
[下] にし茶屋街なので「にし」の文字があります。金沢には他に「ひがし茶屋街」と先月紹介した「主計(かずえ)町」があります。
にし茶屋街は、金沢に残る3つの有名なお茶屋街のひとつです。
お茶屋さんと言えば、格式が高くて、飛び込みで行っても入れてくれない…というイメージがあり、自分とは無縁のものと思っていました。
でも金沢のお茶屋さんは、「金沢芸妓のほんものの芸にふれる旅」と題して、日数限定で1時間ほどのお座敷体験をさせてもらえる取り組みがあります。
さっそく私もそれを利用し、お茶屋体験!
私がお邪魔したのは茶屋街のほぼ中央に位置する「 はん家 」。「はんや」と読みます。
午後1時前にお茶屋の中に入ると、お部屋には15人ほどの方が座っておられ、それぞれデジカメやテープレコーダーを用意されています。最近はブログというものがあるし、みなさんまるで記者みたい。
まずは、ゆめ吉姐さんが横笛の独奏を。心にしみわたる笛の音。やっぱり日本人はこの音が好きですね。
そして次に、吉矢姐さんが三味線を、ゆめ吉姐さんが歌を担当し、えみ華姐さんと紗やか姐さんが踊ります。
つまり、生バンドの舞踏ショーを見るようなもんですよ!
はぁ〜、お茶屋の中ってこんなことがおこなわれていたんですかー。
贅沢ですね〜。