見どころのスイッチバックが終わったら、今度は車内販売スペースへGO! ここで予約しておいた「阿蘇のうなり弁当」を受け取れます。
この駅弁、「あそ1962」の終着駅がある一の宮地区の店6軒が、それぞれの "おいしい" を出し合って誕生したスペシャルな駅弁なんだそう。
「あか牛のハンバーグ」「馬スジの煮込み」「阿蘇の五目炊き込みご飯」など、阿蘇の名物てんこ盛り弁当!
立野駅を過ぎた時点で配布が始まるのも、出来立てを食べて欲しいという作り手の願いからなんです。
だから、「あそ1962」でしか手に入らない!
またこの車内販売スペースでは、阿蘇の水で作ったサイダーや、地ビール、 「あそ1962」にちなんで昭和の懐かしい駄菓子やノベルティグッズが売られています。
乗車記念にぜひ購入したいですね。
そうそう! 車内販売でも売られ、熊本各地で見かける「いきなり団子」という和菓子。ネーミングが気になり聞いてみたら、 「いきなりお客さんが来ても、簡単ですぐに作れる団子」という意味なんだそうです。
もっちりとした薄皮の中はほとんどさつまいも。農家の方が、家にあるもので作ったという素朴な和菓子なのです。
車内で売られているのは内牧(うちのまき) 温泉にある渡辺饅頭の手作りで、1個120円、5個入りは550円でした。
さつまいも好きの私にはたまらないお菓子です!
車内販売スペースを楽しんだら、さぁ、席に戻って食べますよ! そういえば「ニコニコ饅頭」もまだ食べていませんでした。
薄皮に餡がいっぱい詰まってておいしい!
ちょっと甘酒の風味がします。
お弁当もバツグンです。阿蘇に来たら食べておきたいものばかりなんですもの。しかもかなりのボリューム。 終点まで20分ちょっと。食べきれるかな?
「お弁当箱は持って帰って、ピクニックに使ってくださいね」と奥村さん。 作りがしっかりしているんで、アドバイスどおり持って帰りました! おにぎりを入れるのにピッタリ。
車窓の景色はすっかりカルデラ大地の景色に変わっています。阿蘇五岳が見え始め、車内放送でその説明が始まりました。
全体を引いて見るとお釈迦様が寝ているように見えるとのこと。確かに左側が頭、右側に膝頭まであるのがわかります。
これは進行方向右に見えるので、お弁当を食べながら涅槃像の姿を見たい場合は、そちら側に席を取るといいですね。
やがて「あそ1962」は阿蘇駅に到着。
ここで3分止まります。
ちなみに自転車を持って乗り降りできるのは、駅の構造上の都合で熊本駅、阿蘇駅、終点の宮地駅のみになります。
初日から阿蘇山登坂を目指すなら、阿蘇駅で下車しましょう。
熊本駅を10時12分にスタートし、12時15分に終点の宮地駅へ到着。
案の定、駅弁を食べきれませんでした…。
急いでお弁当を包みなおし、自転車を持ってホームへ。
いよいよサイクリングのスタートです。
自転車を組み立てる必要がないから下車後がラクラク。 |
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まず目指すのは
阿蘇神社。
神武天皇の孫で、阿蘇開拓の祖といわれている健磐龍命(タケイワタツノミコト) が主神として祀られています。
阿蘇神社の見どころはなんといっても巨大な楼門。見た目には本殿よりも迫力のある、二層楼山門式の楼門です。
二層楼山門式とは屋根が二層になっているもので、阿蘇神社のそれは日本三大楼門に数えられています (出た〜、日本三大!)。
またもうひとつめずらしいのは、参道が門に向かっていない横参道になっている点。
これは上宮が阿蘇火口にあったとされていて、参道がそこへ向かっているからといわれています。
楼門をくぐる手前に手水舎があり、「神の泉」と書かれています。
このあたりは水がおいしいことでも有名。
さっそく飲んでみると、まろやかな味。不老長寿の水として崇められているそう。この水に関してのレポートはあとで詳しく!
神社には別のサイクリストがいらっしゃったので、声をかけてみました。
熊本市内在住とのことで、 恐る恐る「明日、阿蘇山に上るんです」と言ってみたら、 「ゆっくり上れば絶対上れますよ」という力強いアドバイスをもらいました。
旅の無事を祈って阿蘇神社を参拝すると、お楽しみの門前町散策です。横参道を進めばスグです。
全長200mほどのこぢんまりとした門前町ですが、よく整っていて、風情ある町並みです。ここでつまみ食い散策を企てていた私にはピッタリ。
まず目指したのは熊本ファミリー銀行。
銀行に用事があるワケではなく、この脇に湧いている「金脈の泉」目当てです。
ここ一の宮門前町はたくさんの水が湧いていて、その湧き水を使った「水基(みずき)」を巡るのが旅の名物です。 銀行の横から出ているのは、その場所柄名付けられた「金脈の泉」。この水を汲むためにカラのボトルを持参しました!
ひと口飲んでみると、やっぱりまろやか。
全部で15箇所ある水基は、それぞれ少し味が違うそうですから、味見をして回ってみましょう。
[右] 水基の中でもいちばんの水量を誇るそう。ボトルを持ってきたので、汲ませてもらいました。サイクリングの途中で飲みます。 |
そして次の目的地は、洋菓子店の「 たのや 」。
こちらで購入しようと決めていたのが、「たのシュー(105円)」です。生地に湧き水を使ったシュークリームで、皮が薄く柔らかいのが特長。 中にトロトロのカスタードクリームと生クリームが入っていて、「食べるときクリームが出ることがあるので、気をつけてください」とお店の方に注意されるほど。
この「たのシュー」を10個買うと、クッキーで作ったバスケットに入れてくれます。これが「たのシューバスケット(1,260円)」。 JR九州のパンフレットにも紹介されていて、ぜひ入手したかった「くいしんぼ・その1」です。
お次は門前町を少し戻ったところにある「
とり宮 」へ。
こちらでは「馬(バ)ロッケ(150円)」を購入。
熊本といえば馬肉が有名。その馬肉を使ったポテトコロッケが「馬ロッケ」です。
揚げたてを買うため、注文後5分くらい待ちます。もう、おいしいコロッケのためなら、いくらでも待ちます! これで「くいしんぼ・その2」をゲット。
この2つを買ったら、さらに神社のほうへ戻って、金脈の泉の横にある「 旧緒方屋 」へ。 ここは水出しコーヒーをいただける喫茶店でもあるんですが、ナント、門前町で買った食べ物を持ち込んでOKなんだそうです!
[左上] 「とり宮」店内には、焼肉のたれやジャムなども売られていました。馬肉は日常的に食べられているそうです。 | |||
町の情報発信基地にもなっているこちらで、戦利品を広げて「水出しアイスコーヒー(450円)」を注文。これで役者が揃いました。
まずはアツアツのうちに「馬ロッケ」をガブリ。
かなり厚みがあるので、大口でいきます。
外の衣はサクサク、中はジューシー。馬肉がたっぷり入っていて、ニンニクを使った甘辛い味が「もう1個!」と言わせます。
その後は間髪入れず、「たのシュー」にかぶりつく…といきたいところでしたが、お店の人の言葉が頭をよぎります。 カメラマンさんとJR九州の担当さんが食べるところを冷静に見守ると、「わぁ!」、「おぉ!」と2人が叫びます。2人ともクリームが飛び出してきたのです。
それを見届けた私は、かぶりたつきたくなる衝動を抑え、シュークリームのオヘソ、つまり、クリームを絞り入れた穴を探し、 そこへ口をつけてクリームを吸い込みつつガブリ。
ホントだぁ〜。皮が柔らかい〜。
そしてクリームがトロトロ〜。
飛び出したクリームをペーパーナプキンで拭う2人を見て、旧緒方屋のマスターが「あぁ、クリームの穴のほうから食べなきゃー」と言っているのを聞き、 心の中でVサインをする私。この勝負(どの勝負?)、私の勝ち!?
油と糖分を摂ったあとは(笑)、サッパリと「水出しコーヒー」を。 水出しコーヒーって初めて飲んだんですが、見た目は薄そうなのに、味がものすごく深いんですね。
見ればカウンターの片隅に、背丈ほどあるサーバーが置いてあります。なんでも、3リットルの水を使い8時間かけて抽出するんだとか。 これほど大きなサーバーじゃなければ、このコクは出ないんだそうです。
しかも使っているのが、このあたりのおいしい水ですから!
そりゃ、バツグンの水出しコーヒーですよ。
水基巡りで飲んだ湧き水は、味がまろやかで、コーヒーやお茶に合う「軟水」だと思っていましたが、 実は成分的には硬水に属するんだそう。硬度は111度以上とのことで、正確には中硬水でしょうか。
40年以上前の雨水がカルデラを通って湧き出ているため、いろんな成分が含まれるのです。
じゃあ、体にも良さそう。