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フリーライターの 詳細へ土肥 志穂詳細へサイクリング ターミナル に滞在し、おすすめポイントや周辺サイクリングコースを紹介します!

浦佐を愛する人々で、浦佐は守られている

そして翌日…。
実は前日の夕食前、佐藤支配人からある情報をゲットしました。

このターミナルは、バーベキュー場の利用でも地元の方に人気なのですが、そのバーベキュー場に、 裸押合い祭りの大ローソクを作る関係者がいらしているとのこと。
「それは話を聞かねば!」とうかがったら、大ローソクを作るお父さんに連絡を取ってくださり、取材OKをいだだきました!

2日目はさっそくお父さんのもとへ。
お父さんの名前は北村計(きたむら・けい)さん(72歳)。 裸押合い祭りの大ローソクを作れる、ただひとりの人なんだそうです。

もちろん1本、1本手作り。「右手でローソクの芯の部分を支え、左手で…そうだね、バームクーヘンのように塗って形を整えていく」と北村さん。

ロウは熱いので、北村さんの左手は真っ赤になります。「でも、もう慣れてるから…」と、分厚くなった手のひらを見せてくれました。

夏の時期はロウが溶けて形が崩れるため、大ローソク作りは11月から始まります。 3月3日の本番に向けて、今年は100本の大ローソクを作ったといいます。

「もともと、毘沙門天にお参りする人が押し合いへし合いして参拝しようとしたことから、この祭りが始まったんだよね」と、 祭りの起源を教えてくれた北村さん。

この毘沙門堂は昔からかなりの信者があったようで、みんなが毘沙門天の正面からお参りしようと押し合いになり、 そのうち、裸になるものが出始め、今の祭りの形になりました。

昔は今ほど大ローソクの数はなかったのですが、祭りが大きくなるにつれ祭りと一般客を分ける警護の役割りも担っていき、 スポンサーがつくようにもなってどんどん数が増えていったといいます。

祭りに欠かせないものとなった大ローソク。

これを守る後継者がいないなんて、どうなるんでしょ! …とこちらが心配してしまいましたが、北村さんは 「どーなるんだろーねぇ」と悠長に構えていらっしゃいます。

前日に会った息子さんは、いかにも「祭り好き!」という雰囲気。本人に聞いても「祭りが大好きで…」と言われていたし、 お父さんも「あいつはもう、祭りが好きで好きで」と、半ば呆れたように言われていました。なのに、今のところ継ぐ気はないよう。

でも、大好きな祭りを守るために、いつか一念発起されるんだろうなぁ〜という感じがしました。それが父と息子というものですかね。

そんな親子を見ていても、なんだかステキだなぁ〜と思いました。

町の伝統を守るために、浦佐の若い男性は1年をかけて祭りの準備をするのです。

幹部である浦佐多門青年団のみなさんは、祭り1週間前から毎日、境内の「うがい鉢」というところで水行をし、肉類は一切口にしないといいます。

そのほか、祭りにはものすごい準備が必要なんだそうです。

「今の若者は…」と言われがちな昨今ですが、こんなにも熱い青年たちが浦佐にいるなんて。日本の文化って素晴らしいですね。

そしてその「うがい鉢」。

祭りの最中も男衆がそこで水行をするんですが、境内にあったっけ???

それを確かめるために、再び 「 詳細へ毘沙門堂 」へ。

するとありました、ありました!
前の日に手を洗った、不動明王の前の鉢でした。

この日は日曜日で、町のご婦人がお茶を出してくださいました。そこでお祭りのこと、浦佐のいいところ…などなど話に花が咲いて!

特に印象的だったのは、ひとりのご婦人が、「あのうがい鉢だって、1つの大きな石をくり抜いたものでしょ。私、お嫁に来たころ、 水無川の上流へ行って、大きな石がゴロゴロ転がってて、そこに…、まるで盆栽のように苔や木が生えているのを見たの。それがキレイでねぇ。 これはゆくゆくまで残していかなきゃって思ったわぁ」と話してくれたことでした。

みんな浦佐のことを愛しているんだなぁ…って。

…で、ターミナルにも浦佐を愛する若者が!

朝6時からスキー場の草を刈り始め、見る見るうちにスラロームコースを作り上げていたのは、新潟マウンテンバイク協会会長、 東樹(とうじゅ)努さんとその仲間たち!

佐藤支配人の話によると、MTBコースとしてのスキー場管理は、すべて東樹さんたちに任せているんだとか。

そして東樹さんたちは、来る9月27〜28日に開催される「第13回八海山麓MTB大会」のコース作りに汗を流していたのです。

こういう常設コースには、管理している人たちが必ずいることを忘れてはなりません。

「東樹さんたちのお陰で、ターミナルに来たお客さんも、無料でこのコースが楽しめるんですね。ありがたいです」と伝えると、 「いや、ターミナルの方や行政の理解があるから、こうしてここを使わせてもらって、こっちこそ感謝しなきゃならないんです」と東樹さん。

クーーーッ! いい話やねぇ〜。

東樹さんたち、本当にMTBが好きなんですね。
好きなことに汗を流している姿、カッコイイです。

そして、新潟でMTBを盛り上げようとしている姿に感動です。

コース作りが終わったら、みんなでバーベキュー。

前日に買った八色西瓜を差し入れし、私もいただきま〜す。

甘くておいしい!
最近、こんな甘いスイカは食べていません。さすが日本一!

そうそう、八海山麓MTB大会の申し込み締め切りは9月19日だそうですから、興味がある方はぜひ!  大会の詳細や東樹さんたちの活動がわかるブログ「 別サイトへ八海山麓MTBパーク 」もチェックしてみてください。

そして旅の締めは、水無川上流へ。

毘沙門堂で会ったご婦人が「将来に残したい」と言っていた、巨石を見に行きました。

残念ながら7月の大雨で川は荒れ、一部はコンクリートで埋められている部分もあり、ご婦人の記憶にある風景とは違ってしまったよう。

それでもビックリするぐらい大きな石を見ることができました。

ここにたくさんの立派な石があるから、ガードレールの代わりに石が並んでいたんですね。

さてさてこれで、「 詳細へ 八海山麓サイクリングターミナル 」の旅はおしまい。

今回の旅も充実していたんですが、ひとつだけ気になったことが。
最初にも書きましたが、ターミナル周辺は中越地震の被害が少なかったとはいうものの、ときどき、その爪あとを感じずにはいられませんでした。

たとえば、サイクリングロードが途中から通行不可になったり、昔はターミナルの裏山にあったクロスカントリーコースも、 落石の恐れがあって閉鎖になったり。地元の方は何気なく口にしますが、聞いているこちらは心が痛みました。

また7月の大雨でヤナ場が流されてしまったそうで、夏に欠かせない観光ヤナがまったく運営できなかったといいます。 こういうときは私たちがどんどん浦佐を訪ね、お金を落とすことが、みなさんのためになるのかなぁ〜って。

浦佐は今後、水無川のサイクリングロードを拡充し、サイクリングの観光にも力を入れていくそうです。

3月3日の裸押合い大祭も必見! ぜひ訪ねてみてください。


詳細へ今回訪れたターミナルはこちら