さて、「
南あわじ市サイクリングターミナル 」からのサイクリングルートですが、正直、どこを走ろうか迷いました。
ぜひ立ち寄りたいポイントは3つ。
1つめは、500万本の水仙が咲くという
「 灘黒岩水仙郷 」、
2つめは日本発祥おのころ島伝承の地である
「 おのころ島神社 」、
そして3つめは『鳴門のうずしお』。
できれば往復ルートではなく周回ルートにしたいし…。地図をにらんで決めたのは、諭鶴羽山を越えて灘黒岩水仙郷を目指すヒルクライムルート!
「 灘黒岩水仙郷 」は 12月下旬から水仙が満開になるんだそうです。この記事を読んでくださった方にピッタリなんじゃないかと。また、帰り道に 「 おのころ島神社 」 に寄ることもできます。
…ということで、意を決してターミナルをスタート。
諭鶴羽山越えは、途中ダートがあると言うので、今回はMTBをチョイス。まずは3kmほど、ゆるい下りを行きます。「最後、これを上るのか〜」と思いつつ。
最初に目指すは「 覚住寺 (かくじゅうじ) 」。 淡路島七福神めぐりのひとつ、毘沙門天が祭られています。聖徳太子の詔で建立されたといわれているんだそう。
お参りをしたら、少し戻って諭鶴羽山に向けて左へ。ここからいよいよヒルクライムのスタートです。
辺りは紅葉の始まった里山。
最近は鹿が下りてきて、被害に頭を悩ませているそう。鹿に会うと怖いな。
しばらく行くと上田 (こうだ) 池が見えてきました。
そして思わず「かっこいい〜!」と声を上げてしまったのが上田ダム。
石造りの古いダムで、「かっこいい」という言葉が出てしまったのです。
かなりステキな場所です。
私が走っている道は、林道上田線と言うそうです。
途中ダートがあると聞いていましたが、行けども行けども舗装路。
「ロードで来たら良かったかな?」と、ちょっと後悔しながら進みます。斜度はそれほどありませんが、なんせ長いので…。
うぅ…、まだ3kmしかきていない。
さらに進むと、段々畑が平地になっている場所に出てきました。民家があるので、その方の田んぼか畑だと思うのですが…。
あとで聞くと、鹿の被害がひどく、作物を作っても全部食べられてしまうので、作るのをやめてしまったのだそうです。
こういう現状を目の当たりにすると、環境問題をしみじみ考えてしまいます。
とにかくペダルを回す、回す。
雨がちょっと降り始め、気持ちも落ち込みそうになりますが、これが淡路島の最高峰だと思うと、「制覇したい!」という気持ちに火がつきます。
しばらく続いていた舗装路も、諭鶴羽山近くになると、ちょこちょこダートが出てきました。
しかも、かなり鋭利な石がゴロゴロ。
舗装路も石が転がり始め、落石には注意が必要です。
うーん、ここが舗装路になればロードで来れるんだけどなぁ。そうすればもう少しヒルクライムもラクなのに…。
ヒルクライムは10km近くになり、「もうダメ〜」と諦めかけたころ、左側がフッと開けて、目の前に海が見渡せました。
光の中に浮かぶのは沼島 (ぬしま)。
イザナギノミコトとイザナミノミコトの国生み伝説で、最初に生まれた島が「沼島」という説と「淡路島」という説があるんだそうで、 もしかしたら、目の前に見えている沼島が、日本で最初にできた島なのかもしれないのです。
いずれにしれも、私が立っている淡路島も然り。
神々しく浮かぶ沼島を見て、「そうか、淡路島を巡るということは、神の島を巡るということなんだ!」と気がついた私でした。
そしてとうとうヒルクライムの到着地、 「 諭鶴羽神社 」に到着!
途中、電波塔が見えますが、そちらへは行かずにこの 諭鶴羽神社 を目指して走ってください。
諭鶴羽神社 に行くと
「元熊野」と書いた石碑があります。
ターミナルの支配人で淡路島の生き字引、村上さんの話によると、
「熊野古道って有名やけど、熊野の神さんは、もともとは
この 諭鶴羽神社 の
神さんやったんや」とのこと。
ふーん、こんなところにも淡路島=神の島を思わせるエピソードが。
また、「アカガシという樫木の北限がここ」と言う村上さん。 | ||
[左上] 「元熊野」と書いてある石碑。熊野神社の神様は、ここからお引越しをされたのだそう。 [左中] 残念ながら昔の社は残っていませんが、ひっそりとした感じがまたステキです。 [左下] アカガシの前で、ホッとひと息。大変だったけど、上ってきた達成感はバッチリ。 | ||
終わらない夜はないように、終わらないヒルクライムはありません。
上ったあとは、ひたすら下る、下る。
その距離約5km。
道幅が狭いのでちょっと注意です。
かなりの斜度もありますが、舗装路なのでまだマシです。
途中、分かれ道で迷ったら、「黒岩」という地区を目指してください。
「吉野」や「山本」を目指すと、目的地からちょっと遠くなってしまいます。
とうとうやって来ました、海岸線の道!
ここにある 「 灘黒岩水仙郷 」を目指して、 ヒルクライムしてきたのです。
それにしても、ここに来るまで出会った車は3台のみ。
つらいけど、走るにはいいところやね〜。
ダウンヒルから海岸線に出たら、一度左へ進み、 「 灘黒岩水仙郷 」へ。
撮影をしたときはまだ水仙は咲いていませんでしたが、12月下旬〜2月下旬まで、野生の水仙が約500万本も咲くんだそうです。
そもそも、海岸に漂着した水仙の球根を、漁師さんたちが植えたのが増えて、こんなふうになったのだ…という話。
ウェブサイトなどで見ると、かわいい水仙が斜面一面に咲いている風景にうっとり。
私は見られませんでしたが、ぜひみなさんはご覧になってください!
パラパラと降っていた雨も上がり、雲の切れ間から落ちる太陽の光がすごくキレイ! 人生苦もありゃ、ラクもあるさっ。
水仙はまだ見られませんでしたが、その高台からは神が降りてくるところを見た!…というのは大げさですが、心が洗われました。 しかも! 反対側の空には大きな虹が! きっと頑張ったご褒美ですね。