自転車保険とはなんでしょう。
世の中には、多種多様の保険商品がありますが、ここでは、傷害保険の一つである自転車保険についてお話します。
普通、損害保険会社で取り扱っている自転車の保険は自転車総合保険ですが、近年取り扱いが行われなくなっています。
自転車総合保険だけでなく、交通事故傷害保険や普通傷害保険などでも対応可能ですが、特約等でそれぞれ補償する範囲が違います。
一般的には、自転車総合保険より、交通事故傷害保険や普通傷害保険のほうが補償の範囲が広いですが、その分保険料も高くなります。
JCAによる最近の調査では、損害保険各社は商品構成を見直しており、自転車総合保険の販売を打ち切るケースも多くなっています。
自転車関連の違反・事故で怖いのは、下記の事故例のとおり、多額の賠償を支払うことになるばかりか、刑事的な責任(前科)の可能性もあります。
警視庁のサイト(平成20年度現在)によると「自転車の交通事故によって他人を死亡させた場合、損害賠償という形で 5000万円の支払いを命じられた例もあります」とのことです。
参考その1
下記に楽しいサイクリングに潜む危険を、事故の加害責任の大きさで記します。
損害保険協会の資料によると、自転車事故によって発生した賠償額として下表の例が報告されています。 これらの例は、自転車通行可能な道路上(道交法適用内)における事故の例です。
自転車での加害事故例
賠償額 | 事故の概要 |
9,266万円 | 男子高校生が昼間、自転車横断帯のかなり手前の歩道から車道を斜めに横断し、対向車線を自転車で直進してきた男性会社員(24歳)と衝突。男性会社員に重大な障害(言語機能の喪失等)が残った。(東京地方裁判所、平成20(2008)年6月5日判決) |
6,779万円 | 男性が夕方、ペットボトルを片手に下り坂をスピードを落とさずに走行し交差点に進入、横断歩道を横断中の女性(38歳)と衝突。女性は脳挫傷等で3日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成15年9月30日判決) |
5,438万円 | 男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成19年4月11日判決) |
5,000万円 | 女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の看護師(57歳)の女性と衝突。看護師には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った。(横浜地方裁判所、平成17年11月25日判決) |
4,043万円 | 男子高校生が朝、赤信号で交差点の横断歩道を走行中、旋盤工(62歳)の男性が運転するオートバイと衝突。旋盤工は頭蓋内損傷で13日後に死亡した。(東京地方裁判所、平成17年9月14日判決) |
3,138万円 | 男子高校生が朝、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性の保険勧誘員(60歳)が運転する自転車と衝突。保険勧誘員は頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡した。(さいたま地方裁判所、平成14年2月15日判決) |
(*)賠償額とは、判決文で加害者が支払を命じられた金額です(上記金額は概算額)
日本損害保険協会調べ
参考その2
損害保険会社によっては、基本的な「自動車保険」、「交通事故傷害保険」、「普通傷害保険」などの保険商品に、 自転車を運転中に人をけがさせた場合などの損害賠償は補償対象ではない場合があります。
その場合は、自転車事故を含む賠償責任が生じた際に補償するという「特約」をつけていないと自転車事故に対する補償はありません。 一度、加入している保険の契約内容をご確認ください。
参考その3
自転車で走る人は、サイクリングを楽しむ時も、日常の自転車利用の時も、常に事故に備え、自分の怪我の補償ばかりでなく、 事故を起こした相手方に対する損害賠償に応じる覚悟のある人達でなければなりません。
(公財)日本サイクリング協会は、このような事故に対する一助として
JCA自転車保険 を用意しています。
平成21年4月1日より、JCA自転車総合保険は、特に相手方に対する損害賠償に重点を置いた保険の構成になりました。
またJCA公認(JCA会員ではありません)の新制度として、保険に重点をおいた、CJ+のサイクリング保険も用意されています。
JCAの会員になると、サイクリングや自転車に関する有益で楽しい情報を得られるほか、
JCA自転車保険をはじめとする数多くの特典
が受けられます。
CJ+会員になると、CJ+サイクリング保険への加入にくわえ、JCA会員に順じた特典が受けられます。