次の日…。
本来ならばターミナルの北側のコースを走って紹介しようと思ったのですが、残念ながらこの日は冷たい雨。でも、コースは紹介をしたいので、撮影した写真で雰囲気だけでも味わってください。このレポートの最後には、この記事を読んでくださった方への特典もありますよ。
ターミナルから北側のコースは、七保峠という標高250mほどの峠を通るのが最も回りやすいのですが、役場の方に「結構厳しいですよ」と言われたので、宮川沿いを走ることにしました。
ちょっと遠回りの感はありますが、距離も約35kmですし、ほぼ周回のコースが取れたので楽しく走れます。 ターミナル を出発したら、まずは南下して滝原駅を目指します。昼食ポイントの関係で、この回り方がベストなのです。
滝原駅は、上下合わせて18本しか電車がない紀伊本線の駅。でも旅人の私は、こういう駅こそワクワクしてしまいます。
駅からは紀伊本線と大内山川の間を走ります。地元の人しか知らないような細い道です。
でもそういう道が、自転車には最高!
[左側写真/上から順に]
ローカル線好きにはたまらない大きさのJR滝原駅。白地にオレンジと緑ラインの電車がきます。
車がすれ違えるかどうか…というほどの道幅です。サイクリングはこういう道を選ぶと、快適に走れることが多いのです。
船木大橋で少しだけ国道42号に出ますが、宮川高校のところで脇道の県道770号へ。ちなみに国道42号の南側を流れる宮川は、この川で拾った白石を伊勢の神宮に納めるという、由緒ある川です。
脇道へ入ってしばらくすると、紀勢自動車道が上を通る風景に出ます。
そこには、熊野古道の道標が立っていました。
[左上] この辺りには、「笑門」という札をつけた家が多かったんですよね。伊勢ではよく見る締め飾りで、1年中飾っておくのだそう。 | ||
[左下] キョロキョロすると、熊野古道や三瀬の渡しの看板があります。 [右下] さらにキョロキョロすると、熊野古道の昔の道標が見つかります。「よしのはせかうや京大阪道」と書かれているようです。 |
また「三瀬の渡し」という渡し船が、かつて交通の要となっていたようで、予約をすれば再現をしてくれるとの旨が看板に書いてあります。
一応、渡し船があった場所へ歩いて行ってみましたが、普段は船も何もないので、行ってもあまり感動はありませんでした。ですから、熊野古道の道標だけ見たら、前に進んでいいと思います。
それでも、この辺りを昔の人が歩いて熊野を目指していたのだと思うと、脈々と続く歴史を感じ、「いいところだなぁ〜」としみじみ。
田舎道をクネクネと走り、高奈というところで再び国道42号へ。七保大橋から今度は宮川の南側を走ります。
「ノリタケ伊勢電子」という会社の近くで「武士谷 夢・花街道」という看板を見たら、そこを左へ行って坂を上ります。
この坂の上には、まだ鹿被害を受けてないあじさいの道が残っています。お母さんたちが愛情込めて育てたあじさいを思い浮かべながらしばし散策。
下ったところに出てくるのが、「あごなし地蔵」と言われる小さなお地蔵様。
「あごなし地蔵」はどうやら全国にあるようで、別に「顎がない」のではなく、「阿古(あこ)」の歯痛を「治し」たことが転じて「あごなし」とか、いろいろ説があるようです。
いずれにしても、地元の方からは愛されているお地蔵様であることは、手入れの感じからうかがえました。
さらに移動を続けると、なんだか茶畑がたくさん目に飛び込んでくるように…。
実は三重県って、全国第3位のお茶の名産地。知らなかった! 「伊勢茶」と呼ばれ、ここ度会地区もその産地です。
[左] お茶を飲むふり…、なんちゃって。今度、飲んでみたいな!
こういう旅もいいですよね。「お茶の名産地だと思って目指して行く」よりも、「行って周囲の風景を見て、お茶の名産地だと知る」という旅。
自転車の旅は、後者の旅になることが多いように思います。
[上段/左] 周囲に茶畑が目立つようになりました。実は伊勢茶の名産地。
[上段/中] 民家のそばにも茶畑。霜を飛ばす扇風機がニョキニョキ立っています。
[中段/左] 折り返しは、道の右側に宮川を見ます。これが伊勢まで続いているんですね〜(しみじみ)。
[中段/中] 途中にあった樋ノ谷遺跡。縄文時代の遺跡を復元したところです。
のんびり田舎道を走りながら、再び国道42号に戻ったら、そこが昼食ポイント。観光バスが何台も停まる、 ドライブインあら竹 です。
ここではなんと、JR松阪駅で有名な駅弁「モー太郎弁当」がいただけるのです!
名前がいいでしょ? モー太郎弁当ですよ!
しかもお弁当箱がリアルな牛の顔。
さらに驚くことなかれ! ふたを開くと童謡「ふるさと」のメロディーが流れるのです! |
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[左] ドライブインの中には食堂があり、名物の駅弁が食べられます! 何やらテレビなどの取材の記事がいっぱい!
[中] あら竹の看板メニュー「モー太郎弁当」の根付まで売っていました。
[右] 松阪駅にて。売店に「あら竹」の文字があるように、この辺りでは駅弁で有名なんです。
お弁当としての実力も充分。モー太郎弁当はいわゆる牛丼弁当なんですが、使われている牛肉は、もちろん松坂牛です! サイクリングの途中で、話題の駅弁を食べられるなんて、ちょっとユニークじゃないですか?
そして、そして!
お店のご好意で、このドライブインあら竹に自転車で行き、レストランでお弁当を注文された方には、赤だしをサービスしてくださるそうです。注文のときに、「JCAのホームページを見て、自転車で来た」と伝えてくださいね♪
[上段/左から順に] | |||
サービスの赤だしをつけていただき、トロトロの松坂牛をいただきます♪ (牛くんがこっちを見てる!) [下段/左から順に] |
お腹が満たされたら、そのまま南下してターミナルへ帰着。 | ||
[右] 瀧原宮の反対側にも、こんな森が続いています。ぜひネットの航空写真で見てください。ここだけ異様に緑色がモコモコしてますから! |
さてさてこれで、「 おおみやサイクリングターミナル 」の旅はおしまい。
そして、私のこの特集もいったんお休みになります。
4年半、読んでいただいてありがとうございました!
このレポートを書いているときは、読んでくださっているみなさんの顔が、常に頭に浮かんでいました。読みながら、「いいな〜、行ってみたいな〜」と思ってもらうだけでも、こっちまでハッピーオーラがもらえそうな気分でした。
また、実際に行っていただき、楽しい体験をされるのは、なお嬉し。
行ったことで人生が豊かになったり、日本が好きになったり、そういう副産物がたくさんあるといいなぁ…なんて考えながら書いていました。
この特集で何度も書きましたが、自転車で旅をすると、ホント、「日本は広い。まだまだいいところがたくさんある」と思うんです。それって実は今の日本に一番大事なことじゃないでしょうか?
日本人は、もっと日本が好きにならなきゃいけないと思うんです。
だからこそ、自転車の旅、もっとみなさんに楽しんでもらいたいです。
これからも、みなさんのハッピーな自転車ライフを祈っています!