大三島をあとにすると、残る島はたったの2つに。
伯方(はかた)島と大島です。
[左] 大三島と伯方島を結ぶ大三島大橋。このルート唯一のアーチ橋で、距離は328m。これまでの橋と比べたらあっという間に渡り切ります。
「伯方島は、あの "伯方の塩" の伯方ですよ」とカメラマンさんに言うと、カメラマンさんは「おぉ!」と声を挙げて喜んでいました。私も最初そうでした。「あぁ、あれ!」という感じですよね。
伯方の塩の本社や伯方の塩ラーメンで有名な店は、残念ながらルートとは反対側にあるので、行くには遠回りをしなければなりません。でも脚と興味のある人は、島を一周したって14kmですので、行ってもいいと思います。
先を急ぐ人は、道の駅「伯方S・Cパーク」でも塩ラーメンや塩アイスなどを食べられるので利用しましょう。
伯方島の次は、とうとう最後の島である大島の登場です。
伯方島と大島の間は、伯方・大島大橋で結ばれています。
プチ情報になってしまいますが、この橋、「伯方・大島大橋」という呼び方が一般的ですが、実は「伯方橋」と「大島大橋」に分かれています。
2つの橋が一体となっており、走っているほうからすると1つの橋を渡っているように思うため、それが2本の橋だとなかなか気づきません。
でも実際は、身近島という島で分かれています。
それはさておき、大島の見どころスポットですが、こちらは 2007年6月の特集 を参考にしていただければと思います。特にオススメは、 潮流体験。
みなさん、瀬戸内海を走るときは潮の流れに注目です。
時間帯によっては、川が流れているかのように、一定方向にゴーゴーと潮が流れていることに気がつくはずです。
島が密集しているので、干潮・満潮時には潮の流れが増幅されます。そのため、瀬戸内海を船で渡るのは本当に難しく、村上水軍のような、船の上手な使い手が勢力を伸ばすこととなりました。その潮の流れを船に乗って体験するのが「潮流体験」。
小さな船で沖に出て、潮の流れが厳しいところで船頭さんがエンジンを切ってくれます。すると船がスーッと流れ始めるのです。それがとっても不思議で!
特集 ではその潮流体験のレポートもしていますので、参考にしてくださいね。
大島はサイクリングルートが島の中央を走っているため、ここまでのルートよりアップダウンがあります。ちょっとだけ、頑張らなければならない島です。
[左] 大島に着いて脚が残っていたら、標高307mの亀老山に上りましょう。ヒルクライムは厳しいですが、写真のような来島海峡大橋の絶景が見られます。
でもそれを走り終えたら、お待ちかね!
来島海峡大橋の登場です!
来島海峡大橋は三連つり橋で、長さがなんと約4kmもあります。しまなみ海道の中でメインイベントとなる橋と言ってもいいでしょう。
三連のつり橋ともなると、橋の上で多少のアップダウンがあり、風も強め。そのうえ距離があるので、来島海峡大橋は結構な走り応えです。
でもこの橋こそ「私たちサイクリストにために、この橋を開放してくれてありがとう!」と言いたくなるくらい、貴重なサイクリング体験になります。
なにせ、海の上なんですよ!
[左] 橋の距離が4km、しかもアップダウンがあるため、橋の先があまり見えませんが、向こうには今治市街が!
一気に走り抜けるのもいいですが、記念撮影をしたり、下を行き交う船を眺めたりして、楽しんでください。 | ||
[左] 夕日に浮かぶシルエットも美しい来島海峡大橋。日の入りは冬で17時前後なので、それまでに宿へ着くよう計画を立てましょう。 [中] 来島海峡大橋の途中には「馬島(うましま)」という島があります。橋からはエレベーターで降りることができます。もちろん自転車ごと! |
しまなみ海道を走り終えたら、お宿はやっぱり「 今治市サイクリングターミナル『サンライズ糸山』 」です。
建物も立派で、なんと言ってもロビーや部屋から目の前に見える来島海峡大橋がスバラシイ!
2007年6月の特集 で詳しくレポートしておりますが、そのとき、「お部屋に自転車が持って入れるといいですねー」と提案をさせてもらったら、それが通ったようで、今では自分の部屋に自転車が保管できるそうです。これはうれしいサービス。
[上] 今治市内に落ちる夕日(写真は亀老山からのもの)。横浜を夜に出発して、再び夜がやってきます。ここまででも充実感でいっぱい。
また、レストランがリニューアルされました。
「 風のレストラン
」といって、とーーってもおしゃれなレストランが入ったのです。メニューは地元の食材を使った洋食。特に、素材本来の味が楽しめるダッチオーブン料理が自慢で、熱々のお肉や魚、お野菜がお腹を満たしてくれます。
事前に頼めば、和食メニューも用意してくれるそうです。
[左から順に] |
前菜でいただいた「本日の季節の彩りプレート(1,500円)」。地元"媛ポーク"のやわらか煮込みなど、今治のおいしさが詰まったプレートです。
好きなダッチオーブンとパスタが選べ、パンやデザートなどがセットになった「KAZEセット(2,800円)」は、走ったあとに嬉しいボリューム。
時間になるとレストラン内の明りを落とし、テーブルキャンドルのサービスも。
先述の通り、このサイクリングターミナルは来島海峡大橋が目の前に見えます。室内を暗くすることで、この橋のシルエットを夜も楽しめるというワケ。なんてロマンチック!
日本中のサイクリングターミナルを取材していますが、「彼女を誘いたいサイクリングターミナル」に認定したいほどです。
また朝食も地産地消にこだわり、体に優しい朝食メニューを、和食、洋食から選べます。特に雑穀入りのおかゆは、優しい味で体に良さそう。
そもそもこの旅は、体にも心にも優しいことをしていますもんね!
[左上] 朝、ロビーに降りたら「健康のためにサイクリングをしているんだ」という地元の方に出会いました。この辺りをいつも走れるなんてうらやましい!
[右上] 朝日の中に姿を見せた来島海峡大橋。この風景がお部屋から見られます。海岸沿いには、レンズを橋に向けるアマチュアカメラマンが多くいました。
さてさてこれで、瀬戸内海ぐるっと一周サイクリングの前編はおしまい。
最後に、今治サイクリングターミナルで出会った方のお話を一席。兵庫からいらした大竹崇之(たかし)さん(27歳)は、お誕生日の記念にしまなみ海道走破に挑戦されたんだそうです。
なんと、レンタサイクルで!
兵庫から夜行バスで朝5時に尾道駅へ到着。24時間レストランで時間をつぶし、7時にレンタサイクルをして、今治まで。
レンタサイクルはギアつきという理由でMTBにしましたが、タイヤの路面抵抗があるので「ちょっと失敗したかな」と。
テレビでしまなみ海道を走るレポートを見て「楽しそうだな」と思って来たそうですが、「橋への上りがつらくて、こんなにしんどいとは思っていませんでした。でも来てよかったです。達成感がありますからね」と満足げ。
「自転車って楽しいんですね。欲しくなりました」と言われていたので、これでまたひとり、サイクリストが増えるかも!? しまなみ海道は、今まで自転車に興味なかった人も虜にしてしまう魅力があるんですよね。
さて後編は今治を出発し、愛媛の瀬戸内海沿岸を走ります。今度はクルーズフェリーで松山から広島へ渡り、原爆ドームまで走りますよ!
来月の更新をお楽しみに〜。