ところで、全長70km以上あるしまなみ海道のサイクリングルートですが、まったく土地勘がなくても走れるのでしょうか?
大丈夫、安心してください。看板が充実しているので、見落とすことがなければ迷わず行けます。
しまなみ海道のサイクリングといえば、高速道路の脇をずっと走って、一気に尾道〜今治間を走れると思っておられる方も多いようです。
高速道路の脇を走るのは島と島の間、つまり橋を渡っているときだけで、島へ着いてしまえば橋から降り、島の一般道を走ることになります。
ちなみに、橋へのアプローチは上り坂です。
上り坂といっても斜度はゆるやかで、それほど苦なく上れます。しまなみ海道通して上りといえば、橋までの上りと、大三島、大島の一部です。
[右側写真/上から順に]
橋へのアプローチは、橋の真下から始まるとは限りません。奥に見えているのが多々羅大橋。その入口はずいぶん手前にあります。看板に従って進みましょう。
フットサインもあります。矢印にそって行けば目的の方向へ進めます。
話を戻しますと、橋以外、つまり街中に入ってからは迷う可能性がありますが、しまなみ海道の広島県側では、ルート上に水色のラインを引く取り組みが、まさにこの取材の際におこなわれていました。
「しまなみブルー」と呼ばれるこの水色のラインは、路肩に引かれた既存の白いラインの脇に引かれています。しまなみ海道の基本ルートは、この水色をたどって行けば迷うことがありません。ただし残念なことに広島県側だけ。愛媛県側では、緑色のペイントを追って行きます。愛媛県側のペイントは、ちょっとはげかかっている…かな?
ラインがなくとも、看板があるので大丈夫。 |
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さて、水色のラインと看板のお陰で、迷うことなく生口(いくち)橋を渡り、生口島を走破。耕三寺 までのルートに関しては、こちらも 2008年7月の特集 を参考にしてください。
なんと言っても、生口島といえばレモン。ほかのかんきつ類も豊富なので、2008年7月の特集で紹介した 河野農園 でお土産を購入。また地元の素材を使った手作りジェラードの ドルチェ も外せません。生口島でお昼にするなら、たこめしもオススメです。
耕三寺以西でみどころは、サンセットビーチ付近から見える瓢箪島ですね。
あの「ひょっこりひょうたん島」のモデルとなった島とか。全国には「モデルとなった島」と言われているところがたくさんあるみたいですけど…。
でも、本当にひょうたんに見えます。
事実はどうであれ、夢がありますね。
[右] 耕三寺を過ぎたあたりの海岸線から見える瓢箪島。「ひょっこりひょうたん島」のモデルとなった…とか。
また、島のあちこちで見られるかんきつ類の木にも注目です。特に多々羅大橋へのアプローチでは、はっさくやレモンがたわわに実った谷を走ることになります。かんきつ系のさわやかな香りの中を走るのは、とっても爽快ですよ。
[右上] 因島、生口島といえば、はっさくやレモン。2008年7月の特集でも紹介した「因島のはっさくゼリー」はキャラクターがとってもシュール。 |
[左下] はっさくでできた壁づたいに、多々羅大橋へアプローチします。さわやかな香りが心地いい♪ |
多々羅大橋を走ると、その美しさにも魅了されるでしょう。1999年完成当時は、世界最長の斜張橋だったそうです。
またこの橋には、橋の途中に見どころスポットがあります。橋を支える塔の下に着いたら、ぜひ止まってください。そして手を叩いてみましょう。
音が反響して、何重にも聞こえます。これが「多々羅鳴き龍」。日光東照宮の鳴き龍と同じように、音が反響するんですね。
でも、日光のほうは建物なのでなんとなく想像がつくんですが、ここは屋外なのに、まるで室内のように音が反響するって不思議〜。みなさんも試してください。
[上段/左から順に]
多々羅大橋に着きました。白い塔が美しい橋です。「斜張橋」とは、塔からケーブルを斜めに張った橋のことを言います。
橋を渡るときは、たまに海も眺めてみましょう。水平線のない海、波は穏やかで、太陽の光がキラキラしている海は、瀬戸内海ならではです。
[タテ位置写真/左から順に]
塔の下から見ると、こんな大迫力。塔のてっぺんは海面から226mの高さにあり、このしまなみ海道で一番高いのだそう。
塔の下には「多々羅鳴き龍」の看板があります。ここで手を叩くと、音が反響するんです。設計当初は予想してなかった現象なんだとか。
多々羅大橋を走り終えたら、そこは大三島。
橋のたもとにある 道の駅・多々羅しまなみ公園 に寄りましょう。
ここは休憩や食事などに使えるほか、多々羅大橋を臨める展望スペースや、鳴らすと幸せになるという、「しあわせの鐘」などがあります。
[右上] 多々羅大橋を走り終えてすぐにある「多々羅しまなみ公園」。道の駅なので、休憩や食事にもってこいです。
[左] 公園からは多々羅大橋を臨めます。橋の向こうに見えるのは、生口島にある観音山。芸予諸島で一番高い山で、標高約472m。 |
[右上] レストラン前のいけすで飼われていたコブダイ。手を近づけると寄ってきます。
[タテ位置写真/左から順に]
道の駅・多々羅しまなみ公園 を出ると、そのまま大三島橋を目指すか、大三島を満喫するかで進む方向が変わります。
もし脚に余裕があったら、大三島の西側にある「 大山祇(おおやまづみ)神社 」に寄りましょう。
島の横断には一部、サイクリングロードも用意されています。もちろん一般道を走っても行けます。
私は、行きはサイクリングロードを使い、帰りは一般道を使うのをオススメします。
大山祇神社 は、海、山、戦いの神として古くから崇拝されていて、特に土木系の仕事に携わる会社では、社を挙げてお参りに訪れることもあるそうです。そのため、ヘルメットにつけるお守りを扱っており、しまなみ海道を走るサイクリストの間でも人気となっています。
私もこの神社に来るたびに、自分のお守りプラス、仲間のサイクリストへのお土産にたくさん買って帰ります。
旅の安全をこちらでお願いするのはもちろん、このお守りを買うだけでも寄る価値のある神社ですので、ぜひ足を伸ばしてみましょう。
[右写真/上から順に]
海陸両方の交通安全を願っているなんて、さすがしまなみ海道の神社です。
「大山祇神社」の本殿のほうへ入ります。新しいしめ縄が飾ってありました。
ヘルメット用のお守りをいただきました。1つ200円。お友だちのお土産に何個か買います。
[タテ位置写真/左から順に]
大山祇神社に入ると、まず出迎えてくれるのが天然記念物にもなっているクスノキ。
山と海と戦いの神様ですから、サイクリストにピッタリの神様です。
ヘルメット用のお守りは、このようにヘルメットに貼れるようになっています。防水仕様で、雨でも安心。
[ヨコ位置写真] |
[左下] 大山祇神社の前にあるお食事処「大漁」。ここは本当に安くておいしいらしいのですが、時間がなくて立ち寄りを断念。土日はものすごい行列です。 [右下] 大山祇神社の周辺でお昼を食べる場合、「大漁」が行列で入れないときは、この「せとうち茶屋 大三島」もオススメ。レストランのほか、お土産売り場もあります。 | ||