「自転車持って、どこか旅に出たいな〜。でも、時間がないしなぁ〜」
こう思っていらっしゃる方は多いでしょう。
確かに輪行の旅は一大イベント。でもちょっと待って。
もしかしたらあなたは、単に億劫がっているだけかもしれません!
「伊豆大島」
そう! 東京都でもある伊豆大島のことを忘れてはいませんか?
船でピュッと行けて、「島一周」という達成感も味わえる上、車や信号が少なく、おいしいモノはいっぱい♪ 大島は自転車天国なんです。
関東近郊にお住まいなら、金曜の夜に出港して、土曜の朝大島に到着。その日のうちに島を一周して帰路につく…こんなコースはいかがでしょう。これなら忙しいサラリーマンも、日曜日を家族サービスに、はたまた休息日に使えますね。
さて、利用したのは 東海汽船 の大型客船。
東京・竹芝客船ターミナル(竹芝桟橋) を22時に出港して、大島へ翌6時に到着します。金曜、土曜は横浜・大さん橋にも寄港し、私は今回、こちらから出発することにしました。
大さん橋出港は23時30分。問い合わせをしたら、自転車は50分前に預けなければならないとのこと。電話で乗船予約はしていたのですが、発券がまだだったため、少し早めの21時30分には大さん橋に到着。
発券窓口で自転車のことを改めて聞くと、「輪行しているなら、そのまま船内に持って入って、係員の指示する場所に置いてください」と言われ…。あれれ?念のため再度確認すると、「袋に入っているなら、持ち込み料もいりません。そのまま入ってください」と。それはありがたい!
でも裏を返せば「袋に入れないパターン」もあるのかと聞いたら、自転車そのままなら出港50分前に自転車を預け、手荷物料1,430円を支払えば、預かってもらえるそうです。それもいいですねー。
自転車を預ける作業がなくなった分、さて、1時間以上も待ち時間ができてしまった…。大さん橋の先には「SUB ZERO」という、APECの際にも要人をもてなした、オッシャレーーッなバー&レストランがあるけど、
今日は「乗船したらすぐ寝る!」というつもりで、恰好が上下ジャージ(泣)。ドレスコードに引っかかって、入れてもらえないかもしれないので、おとなしく待合室で待つことにします。
ちなみに大さん橋のこの時間は、自動販売機で飲み物ぐらいしか買えないため、夕飯&買い出しは済ませておきましょう。
23時20分着予定の「かめりあ丸」が、そろそろ横浜港へ入って来るようで、「大島はベテラン!」と思われる釣り客が搭乗口付近に並び始め、私もそれに続きます。
搭乗口からはやや歩くんですが、その間に見えるみなとみらいの夜景と、それをバックに方向転換するかめりあ丸に胸が躍り、自転車の重さも忘れてしまいます。
[写真/左から順に]
正式名は「横浜港大さん橋国際客船ターミナル」。外国人設計家によってデザインされ、待合室の天井も変わった形。
発券窓口が開くのは、出港の2時間前。電話で予約した番号を伝え、発券されます。券には名前、住所などを書いて、乗船時に渡します。
釣りやサーフィンのお客さんに交じって、乗船を待ちます。輪行しているのは、見たところ私だけ?
「かめりあ丸」が入港してきました。桟橋脇でグルリと方向転換するんですよ。
乗船時に切符の一部を係員に渡し、いよいよ船内へ!
係員が目を運んだ荷物スペースにはサーフボードがいっぱいで、「ここに置いてください」と指さされた先は、階段と手すりの間の狭いスペース。
「ここに?」とは思うものの、問題なく置けるからいいんですけどね。
[上] 通常は荷物スペースに置くようですが、今回は階段と手すりの間に自転車を置くよう指示されました。
[下] 自転車から離れてしまうので、念のためカギをかけておきますが、周囲にはたくさんの荷物が無造作に置かれています。平和な日本。
大島までの大型客船は、座席がいろんな等級にわかれていて、一番安いのは「乗船券だけで雑魚寝」というものもあります。案外利用している人も多く、 500円で毛布をレンタルし、デッキの好きなところで寝るのです。廊下も階段下も関係なく…。
ほかにリクライニングシートに寝る「2等椅子席」や、10名ほどと相部屋&絨毯の上に布団を敷く「1等室」などがあるのですが、この記事は「疲れをためたくない、大人のためのサイクリング」と思い、「特1等室」を予約。
「特1等室」は、2段ベッドが2つある個室で、ある程度プライバシーが保てます。
[左] 特1等室は2段ベッドが2つ。狭いですが、ベッドも清潔そうだし、大満足。 [右] さすが特1等室! 浴衣、タオル、固形石鹸、リンスインシャンプー、ハブラシが備わっていました。ジャージで来なくてもよかったのね(泣)。船内には10分200円で使えるコイン式シャワーがあります。 |
個人で予約した女性が4人いれば、予約センターのほうで女性ばかりが1室になるよう、まとめてくれるそうです。でも今回はそれができなかったようで、男性カメラマンさんと一緒の部屋。 でも、もう2人が夫婦連れで「1室に女性がひとり」という状態は避けてもらえたようなのでひと安心。
本当の大人なら、この上の「特等室」もオススメします。ふかふかのベッドが2つ入った個室で、1人で予約しても相部屋にはならないそうです。
何はともあれ、無事に部屋へ入ったらまずは乾杯!
かめりあ丸にはテーブルがいくつかならぶ「軽食コーナー」があるので、仲間と来たらそこでワイワイ乾杯するのがいいと思いますが、今回の「特1等室」にはテーブルスペースもあるので、そこで乾杯。
ほどよく酔いが回ったところで、ベッドのカーテンを閉めてバタンキュー。
大島には2つの港があり、潮の流れでどちらに入港、出港するか変わります。
東京・横浜から着く夜行便は、ほとんどの場合、島の北にある岡田港へ到着。
定刻の6時に到着し、出港の14時30分まで、よーし8時間半の滞在を満喫するぞ!…と言いたいところなのですが、当然のことながら輪行を解かなければなりませんし、荷物をどうにかしなければなりません。
まず輪行を解くほう。
岡田港に降りてみると、東京から乗船したサイクリストがたくさんいらっしゃり、港の端で輪行を作業していてもまったく違和感はありません。
[左側写真/上から順に]
大島上陸! 降りるときに船の半券を係員に渡さなければならないので、なくさないように。
到着したのは岡田港。島の北にあります。もうひとつは、西にある元町港。
輪行しないで預けた自転車が、コンテナから出されていました。こういう方法もあるんですね。
到着してみればサイクリストがいっぱい! やはり大島は自転車乗りが集まる場所です。
そして期待をしていたのが空気入れと工具!
大島はなんと! サイクリストに使ってもらおうと、島の10か所に空気入れと工具の設置サービスをおこなっているのです(地図参照)。
こういう取り組み、各地で「実現すればいいね」と言われてはいますが、実施をしているところに初めて遭遇しました!
岡田港もその設置場所ということで、待合室に行ってみると…。
ガーーン!
誰もいません…。朝早すぎて、係の人がだーーーれもいないのです。つまり、空気入れを借りることができません。残念っ! ココ、この時こそが、一番使われるシーンなのに!!
しかたなく、自分の携帯ポンプで空気を入れます。
そしてもう1つの問題は荷物。岡田港にはコインロッカーもなく、荷物を預けるには島の西にある観光協会へ行かなければなりません。 観光協会はもうひとつの港、元町港のすぐそばにあり、帰りの出港が元町港なら受け取りに便利です。しかし、岡田港と元町港の距離は7km。しかも、いきなり上りがあります。
もういっちょ問題は、観光協会が8時半にならないと開きません。そんな時間まで待って出発していたのでは、帰りの船に間に合わない…と、困っているところへ朗報!
今回は地元のサイクリストである寺本雄一郎さんに案内してもらうことになったのですが、彼の情報によると、元町港近くの 御神火温泉 という入浴施設で、早朝から荷物を預かってくれるとのこと。これはありがたい。
さっそく荷物を背負って、7kmの道のりスタート!
結論から言いますと…、荷物を抱えての7km、しかもいきなり上りは、やっぱりしんどかったです。でも、私でもなんとか走り切れたので、みなさんも大丈夫だと思います。 最初から「厳しい上り」と脅かされていたので、どんな上りが現れても、ジッと耐えました。
これでも寺本さんは、できるだけ上りが緩いルートを選んでくださったのだそう。地元のサイクリストがいつも使う道は、距離が短いものの、さらに急こう配とか。みなさんも荷物を抱えているなら、地図で案内したルートを使いましょう。
ベストなのは、誰かサポートカーでついてきてくれること。レンタカーを申し込めば岡田港まで持って来てくれるので、その場で車に荷物を預けられます。
そうすれば、わざわざ元町まで行く必要がなく、サイクリングに時間をかけられます。 |
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岡田港から元町港までの往復14kmは、正直、時間のロスでした。でも、四の五の言ってられないので、とにかく「 御神火温泉 」へ到着。荷物を300円で預けます。 ここは町営の温泉。もちろん私たち観光客も立ち寄り湯で利用できるため、サイクリングのあとはここで汗を流せます。
どうせここに戻ってくる予定なので、「荷物が受け取れていいなぁ〜」と思っていると、荷物はあくまで、観光協会が開くまでの一時預かりとのこと。 8時半になったら、荷物は観光協会へ運ばれてしまうので、帰りはそちらで受け取ります。
観光協会と御神火温泉は、それほど離れていないので、いいんですけどね。
[右側写真/上から順に]
「御神火温泉」へ到着。所要時間30分。平均時速14kmかぁ…。遅いなぁ。
休憩施設もあるので、夜行で来て、ひと風呂浴びて仮眠を取るのも気持ちよさそう。朝食も食べられます。
[下写真/左から順に]