さて、姨捨駅を過ぎると道はどんどん下ります。
再び線路を渡り、さらに下ると、右手に長楽寺。
松尾芭蕉が『更科紀行』で「おもかげや 姨(おば)ひとりなく 月の友」を詠んだお寺です。
自転車を担いで石段を降りると、月見堂、芭蕉の句碑、巨石「姨石」を見上げることができます。
この句碑は「面影塚」と呼ばれていて、松島の「松島や ああ松島や 松島や」、鹿島の「月はやし 梢は雨を 待ちながら」と共に
日本三塚に数えられているとか。
この旅をしていると「日本三大●●」というものに、多く出会えますね。
そうそう、月の名所と言えば 2007年3月の特集 で、 大津サイクリングターミナルを訪ねた際に、石山寺に立ち寄ったのでした。
これで京都の大覚寺へ行けば、日本三大名月を制することができます。
長楽寺を抜け、「おばすて・棚田」の看板に従って行けば、「田毎の月」として有名な、中でも姪石地区の棚田が登場。
うひゃ〜! ここまで苦労して上ったかいがあった!!
棚田の大パノラマビュー。
棚田だけでなく街も見えるので、景色の広がりが違います。
そして遠くに見える山の尾根。ここに月が昇れば…。想像は掻き立てられますが、この日は残念ながら曇り。
でも、この景色が見られたからいいや!
今度はぜひ、田んぼに水が張られる時期に来たいものです。
水面に映る月は見事でしょうね。ちなみに、棚田ひとつひとつに月が映るという「田毎の月」は、実際には見られないそうです。
姨捨の棚田は、姪石地区から少し下がった「四十八枚田」という地区も有名です。
こちらは下界の広がりよりは、見上げた棚田の景色が絶景。
姪石から自転車に乗って行けますので、立ち寄ってみてください。 みなさんが行くころには稲が刈り取られて、より棚田の形がわかるかもしれませんね。
念願の棚田を見終えたら、そろそろあたりが暗くなってきました。
最後に名物の更科そばを食べ、温泉につかって帰らなければ!
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[ヨコ位置・左上から順に] |
戸倉上山田温泉までの戻りかたは、サイクリングロードを行ってもいいのですが、街灯が少なくて暗いと踏んで、 行きに使った県道77号線を帰ることにしました。
道があまり広くなく、交通量もわりとあるので、必ずライトの装着をお忘れなく。
赤いテールライトも大切です。
戸倉上山田温泉に戻ったら、ひと風呂浴びて、そばを食べて帰宅…と思っていましたが、あまりにもお腹がすいたので、先に食事へ。
大正橋を渡り、目指すは戸倉駅前の 「 萱(かや) 」へ。
ここは、坂井銘醸が経営するおそば屋さん。
江戸時代からある蔵元で、大きな酒蔵が見物できるミュージアム「酒蔵コレクション」も併設してあります。
おそば屋さんの建物は、母屋にあった振る舞い酒用の座敷9室を、古文書に則って復元したもの。趣があって、私の「古民家に住みたい心」がかき立てられます。
注文したのは、千曲そば(1,100円)。
くるみ、とろろ、そば汁という3種類のつゆが楽しめる「もりそば」です。
こちらでは「もりそば」のことを「そばきり」と呼ぶそうです。また「くるみ」のつゆは、この地方ではポピュラーなのだとか。 私は初めて食べました。
ひと口食べると、くるみの香りが口いっぱいに広がります。これはちょっとハマりました!ちなみに、帰宅途中にお土産物屋さんへ寄ったら、 くるみパウダーが売っていました。すりゴマのように、くるみパウダーを料理に使うんですね。
そばもコシがあって、のどごしがよくて、本当においしかった!
やはりそばはこちらの食べ物ですね。
西日本生まれの私は、小さいころからうどん派。でもそれは、おいしいそばに出会えなかったからだと思います。 関東に出てきて、そばはおいしいものだと知りました。
お腹がいっぱいになり、再び大正橋を渡って、立ち寄り湯へ。戸倉上山田温泉にある「 かめ乃湯 」へ向かいます。
ここは地元の人にも愛されている外湯。
大衆浴場といったほうがピンとくるでしょう。
地元の人は250円でお風呂に入れます。
市外の人でも1回350円!!
このリーズナブルな価格で、本格的な温泉に入れるのです。
しかも、リニューアルしたばかりで、内湯もキレイ、露天風呂もステキです。
広さはそれほどありませんが、ジェットバスも備えてあって、これで350円なんて、地元の人がうらやましい…。
お湯はやはり、透明で硫黄の香りがするもの。
湯船には源泉が注がれているので、注ぎ口に行って顔にピシャピシャ、腕にピシャピシャ。肌にたっぷり温泉成分を含ませて、帰路につきました。
戸倉上山田温泉は、新戸倉温泉と合わせて7つの立ち寄り湯があります。
最後に温泉に入り輪行して帰る人は、新戸倉温泉の外湯に行ったほうが、駅へのアクセスが簡単です。
さてさてこれで、千曲川サイクリングロードの旅はおしまい。
日本一の川に、日本一の名月(今回は見られませんでしたが…)、そして温泉。
何よりこれからの時期は、秋を探すサイクリングにピッタリです。
ぜひみなさんも、季節を感じる旅に出かけてみてください!