万葉橋が見えてきたら、戸倉上山田温泉はすぐそこ。万葉集に多く詠まれてきた千曲川だけに、自転車道の脇には句碑がたくさん並びます。
川の左岸、つまり自転車道をそのまま進むと戸倉上山田温泉、右岸は新戸倉温泉。
今回は、あるところに寄りたくて、万葉橋を渡って右岸へ行きます。
その「あるところ」とは、無料で足湯が楽しめるという
「 万葉超音波温泉 」。
もちろん立ち寄り湯としても楽しめる温泉ですが、サイクリングの途中で寄るには、足湯が最適。
無料開放は午前8時〜午後9時半。
足湯の前には自転車置場もバッチリ完備。
さっそくシューズと靴下を脱いで、足をつけます。
お湯は透明ですが、かすかに硫黄の香り。
少し熱めのお湯に足をつけて、地元の人とのんびりおしゃべり。 人が来るたびに、「あぁ、お久しぶりです」なんて挨拶をされていたので、井戸端会議場にでもなっているんでしょうか?
「毎日、足をつけに来てるよ。歩けなかった人が歩けるようになったんだから!」と、ひとりのご婦人。
これから行く場所のアドバイスももらいました。
こういう場所で情報収集をするのがイチバンですね。
最初に立ち寄ってよかった! みなさんにお別れを言って、次を目指します。
万葉橋の1本下流側に、大正橋という橋があります。この橋にはちょっとした仕掛けが…。
足もとのタイルとよーく見ると、「恋しの湯伝説」と書かれた赤い石が埋め込んであるのです。
これ、愛しい人の帰りを願って、100個の赤い石を探した女性の民話に基づいています。
大正橋には99個の石が埋めてありますが、あとひとつは…?
インターネットやガイドブックを調べてみましたが、「100個めを見つけたら、あなたの恋もかなうかも…」と書いてあるだけで、 その存在については記述がありません。
「伝説としてとっておくのかな…?」と思っていましたが、先ほど足湯のところであったご婦人が、「100個めは (千曲市役所)戸倉庁舎に あるんだよね」と、あっさり教えてくれました。さすがジモティ。
でも戸倉庁舎には寄りませんでした。100個めを見つけてしまうと、夢がなくなるような気がしたのです。
もちろん、戸倉庁舎のどこにあるのか、また本当にあるのかもわかりません。興味のあるかたは、ぜひ100個めの赤い石を探してみてくださいね。
さてここまで来たら、脚力に合わせてコースを決めましょう。
もう走れないようなら、温泉につかって戸倉駅から帰れます。もう少し千曲川を走りたいなら、終点の更埴まで行き、篠ノ井駅から輪行するのもいいでしょう。
終点まではあと8kmちょっとといったところです。もちろん下り基調。
健脚さんは姨捨(おばすて)コースへ。
私は健脚ではありませんが、姨捨の棚田が見たかったのと、ほぼ満月だったこの日、観月の名所日本一といわれる場所に行ってみたく、 姨捨コースをチョイスしました。姨捨は、その名前から想像できる通り、あの「おばすて山」という姨捨伝説の舞台となった場所です。
姨捨の棚田に行くには、まずJR姨捨駅を目指します。
サイクリングロードとはお別れし、県道77号線を北西へ。大正橋を渡りきって、目の前にある広い道がそれです。 2kmほど行くと、右手に大谷商店という酒屋があり、左に入れる道が見えます。そこを左へ。
更科小学校の前を過ぎると、ひたすら道を上ります。
これはかなりのヒルクライム!
月を見られる棚田に行くのですから、当たり前ですよね。でもキツイ…。
高低差約200mを一気に駆け上がりました。
ヒルクライムが終わろうとするころ、線路を渡ります。そのまま線路沿いを行くと、JR姨捨駅が。
ここは日本三大車窓のひとつと言われているらしく、ホームから見下ろす千曲の風景は素晴らしいそうです。
また、電車がスイッチバックをする駅としても有名。それだけ傾斜がキツイということ!? 鉄道ファンにはたまりませんね。