さて、今月は 先月の特集 の続き!
おさらいしておきますと、寝台特急
サンライズエクスプレス に乗って横浜から岡山まで行き、新幹線を乗り継いで新尾道を自転車でスタート。
しまなみ海道を経て、今治までやってきたのでした。
瀬戸内海ぐるっと一周サイクリングの第2弾は、この旅の2日目。
宿泊した
今治市サイクリングターミナル から愛媛県を横断して松山へ。
クルーズフェリーで広島に渡って、 原爆ドーム を見に行きます。
今月も見どころ盛りだくさんですよ!
朝、着替えを済ませてから7時の朝食に臨み、8時には サイクリングターミナル を出発。
広島行きのクルーズフェリーが出る 松山観光港 までは約46km。クルーズフェリーの出発が12時10分なので約4時間はありますが、寄り道もしたいし、早めの出発です。
出発してしばらく行くと、県道15号に出ます。
この道の朝の見どころは、平行して走る予讃線。
2両編成の普通列車が、とってもかわいらしくて!
こういう列車を見ると、「旅をしているんだなぁ」と、ほのぼのとした気分になります。
でも、スピードは結構速くてビックリ。
日中は1時間に1本の運行になることもありますが、8時台は比較的運行されているので、見たい方はダイヤをチェックしてから出発するといいでしょう。
今治から松山のサイクリングは、主に国道196号線を使います。
この国道は旧今治街道でもあり、多くのお遍路さんも利用する道です。
取材に行った日は冬だったので、さすがにお遍路さんを見ることはありませんでしたが、プライベートで5月に走ったときは、何人もの人に「頑張ってください!」と声をかけることができました。自転車で八十八か所めぐりをする方もいますよね。
このルートのいいところは、右手にずっと瀬戸内海を臨むことができる点。
ただの水平線を見るのとは違い、やはり瀬戸内海は多島美が素晴らしいですよね。
地元のサイクリストには、国道317号もよく利用されるそうです。
196号より内陸にあり、アップダウンの激しい道です。
走り応えを求めるならこちらもいいですが、今回はクルーズフェリーの出港時間もありますし、四国のサイクリングが初めてなら、やはり海沿いがいいでしょう。
20kmほど走ると、左手の建物群に注目しましょう。道沿いに瓦屋さんがたくさんあることに気がつくはずです。ここは750年以上続く「菊間瓦」の産地。
750年前というと日本は鎌倉時代、世界ではモンゴル帝国が全盛期を迎えている頃です。そう考えると感慨深いですね。そんな昔から作られている菊間瓦の特長は、ズバリ「いぶし銀」。産地としては小さいけれど、高級瓦として有名だそうです。
軒を連ねる瓦屋さんの中でも、ひときわ大きな鬼瓦が目についた 錦松(きんしょう)工房 に入ってお話をうかがいました。
突然の訪問にも関わらず、丁寧に菊間瓦の説明をしてくださったのは、この工房300年の歴史を守る九代目・光野(みつの)錦松さん。
菊間瓦は「いぶし銀」の色をしていてとてもキレイなんですが、これは炭素コーティングをした結果の色であって、「見た目にも美しいというのはもちろん、機能的には水をはじくというのが特長です」と錦松さん。素焼きの瓦は水が浸透してしまうんだそうです。
[右側写真/上から順に]
この大きな鬼瓦が目印の「錦松工房」。約300年も続く老舗の瓦屋さんです。
「ご自由に」という貼り紙があったので、遠慮なくお邪魔するとかわいいおばあちゃんがお出迎え。光野チヨミさんです。
お店の中には銀色の置物がズラリ。いぶし銀が特長の「菊間瓦」で作った鬼瓦やオブジェです。
頑丈な菊間瓦は、「役瓦」と呼ばれる飾り瓦も人気があって、特に怖い鬼の顔がついている鬼瓦は、菊間瓦の象徴と言っていいでしょう。鬼の顔には建物を守る役目と、死者の霊を守る役目があって、「お寺や神社に使われるのが本来」なんだそうです。でも錦松工房では、小さな鬼瓦を厄除けとして販売していて「これはお土産にいいな」と思いました。
ほかにも干支のウサギをかたどった小さな置物もあったりして、四国ならではのお土産を探すのにこちらはオススメです。
第一、錦松さんのお話がおもしろい!
「"いぶしを入れる" っていうのは職人技なんですよ」とか、「コシの強い "さぬき土" を使うんだけど、それだけだと土に勢いがありすぎてねぇ。"五味(ごみ)土" を30%混ぜてちょうどいいんだよ」とか、もう、職人魂がギンギンにこちらへ伝わってきて、錦松さんこそ、「いぶし銀だねぇ〜」と言いたくなる方でした。
[左] 店の前で記念撮影。後ろに写っている鬼瓦も大きいですよね!
これを作られているなんて、その技術に脱帽。
錦松(きんしょう)工房 の入口には「どうぞご自由に見学してください」と書いてあるので、お仕事の邪魔にならない限りは、店をのぞいてみましょう。
楽しいお話を聞いて、再びサイクリングへ。ほどなく松山市へ突入します。
ホント、このコースはアップダウンもなく、海沿いの景色を楽しめるコースなので、黙々と走るだけでも楽しめます。
交通量もそれほど多くないですしね。
[右] 今治市から松山市に入りました。看板に描かれているのは松山城と市花であるツバキ。
スタートから26kmほど走ったところに、道の駅「 風早の郷・風和里(ふわり) 」という施設があるので、一度休憩を取りましょう。松山観光港 まで残りは20km。
[左上] ルートに選んだ国道は、ほとんどこんな感じ。海の景色がキレイで、アップダウンが少なく、交通量もそれほど多くありません。 [中上] 瀬戸内海の海はちょっと緑色。波が穏やかなので、海藻などがよく生えているのと、空だけじゃなく島も映り込んでいるからかな? | |||
[右下] レストランや地元の食材を売るお店などがあります。グループで行ってスピードに差がある場合は、ここを中間地点の集合場所にしては? |
8時にスタートして、だいたい9時45分にはこの道の駅に着きたいところです。
時速20km平均で走って、錦松(きんしょう)工房 で30分しゃべっても、その時間には着けますよね。15分休憩して、10時に出発、同じく時速20kmで走れば、11時には 松山観光港 へ着けるでしょう。
クルーズフェリーの出発は12時10分なので、何かちょっとトラブルが発生しても、まだ余裕があります。
休憩を済ませたら、残り20kmは風景を楽しみながら一気に行きましょう。
基本的に海沿いですが、ずっと「松山」を目指してしまうと、内陸へ入ってしまいます。目的地は「 松山観光港 」なので、海のほうへ、海のほうへ進みます。
特に気をつける場所は、地図で示した「内宮交差点」。ここで右へ曲がるのを忘れずに。