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フリーライターの 詳細へ土肥 志穂 が サイクリングロードを実際に走っておすすめポイントを紹介します!

寝台特急に乗って、夜のうちにしまなみ海道の入口へ!

みなさん、今年は公開が遅くなりましたが、改めましてあけましておめでとうございます。気がついてみたら、この連載で5回目の新年を迎えるんですね。
いつもアクセスしていただいて、ありがとうございます。

さて、わたくしごとではありますが、あと3回をもちまして、この特集の担当を卒業させていただくことになりました。長い間、本当にありがとうございました。

みなさまへの感謝の気持ちを込めまして、今月と来月は、私が考えたスペシャルサイクリングツアーをご紹介したいと思います。

場所はもちろん、サイクリストの憧れ!
しまなみ海道!

でも、ただしまなみ海道へ行くわけではありません。今となっては貴重な存在となってしまった、寝台特急「サンライズエクスプレス」に乗って、東京を深夜に出発。翌朝からしまなみ海道を走り、今治に一泊したあと、今度は愛媛の瀬戸内海沿いを走り、松山からクルーズフェリーで広島に渡る…。
いかがです? 瀬戸内海をぐるっと一周できるサイクリングプランなんですよ。

実は、まったく同じ行程を昨年の5月に仲間と実施しまして。仲間には女性も、走り盛りの若者も、定年を過ぎた男性もいましたが、みんな大満足してくれたんです。だからこそ、この特集の読者のみなさんにも、同じように楽しくサイクリングをしてもらいたいと、今回、取材してきました! 卒業記念に、広島出身のワタクシが、とっておきのサイクリングプランをお伝えします♪

前置きはさておき…。
今月も、まずは夜行で出発です。今回乗るのは、東京駅を22時、横浜を22時24分に出発する 別サイトへ サンライズエクスプレス

「サンライズ瀬戸」と「サンライズ出雲」の2つの車両が連結して東京を出発し、岡山で「サンライズ瀬戸」のほうは高松(香川県)へ、「サンライズ出雲」のほうは出雲(島根県)へ向かいます。今回のプランでは岡山で下車するので、座席予約は「瀬戸」でも「出雲」でも構いません。

今では貴重となった寝台特急ですので、土日の予約はかなり大変なようです。

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でもキャンセル待ちもかなり空くようですし、平日は問題なく取れましたので、ぜひチャレンジしてみましょう。いずれにしても、予約はJRの窓口や旅行会社で相談を。

私たち(私とカメラマンさん)は横浜から出発。
ビールとシュウマイ弁当を買いこみ、いざ乗り込みます。

画像へ [右上] 輪行袋と荷物をかついで、夜中の改札を抜けます。帰路に着く人々をよそに、意気揚々と出発です!

画像へ [右下] サンライズエクスプレスが入線してきました! クリーム色とエンジ色の落ち着いたデザイン。こういう特別車両ってワクワク。停車時間が意外と短いのでご注意。

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サンライズエクスプレスには、さまざまな座席がありますが、輪行をする場合は「シングルツイン」という座席がオススメ。

シングルベッドが2段になっている個室なので、当然、2人で寝られるのですが、ここを1人で使うのが今回の裏ワザ。

下段のベッドは、ズバリ自転車用です。
これなら荷物も置けますし、大事な自転車と一緒に寝られ、盗難の心配ナシ。

画像へ [左上] こちらが2段ベッドになった「シングルツイン」。毛布、枕、寝巻、記念ポストカードが置いてあります。ほかにエアコン、FMラジオ、アラーム時計、コンセント、紙コップ、スリッパあり。アメニティはありません。

画像へ [左下] 下段ベッドのシーツをはがして、輪行した自転車、荷物を置きます。たとえば3人で行くときはシングルツインを2つ予約して、片方の部屋の下段は自転車置き場にすればピッタリ。

私が5月に仲間と行ったときは、何人かにこのシングルツインへ寝てもらい、下段を自転車置き場に。輪行したバッグが3つは入りました。

こうして自転車を入れてしまえば、あとの人は寝る場所さえ確保できればOKなのです。

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画像へ [左] シングルツインの上段に座ってみました。ガラス窓が天上のほうへ湾曲していて、夜空を見ながら寝ることができます。

画像へ [中] こちらはシングルの座席(部屋)。転倒防止策をどうにかすれば、手前奥のスペースに輪行袋を置けなくもないけど…。ドアまではみ出すと思うので、部屋の出入りが大変です。

画像へ [右] 車両内にはミニサロンもあり、こちらで夕食。仕事終わりで来たので、缶ビールがウマイ!
車内販売はなく、自動販売機はジュースだけなので、食べ物やアルコールは乗車前に購入を。

さて、一応告白しておきましょう(笑)。

サンライズエクスプレスの旅は、寝台特急に乗るというワクワク感と、揺れと音もあり、正直言って熟睡はできません(私の場合)。でも、起きたらそこは岡山で、そのあとすぐに自転車で走り出せて、「2泊2日でこんなに満喫できるの!?」とみなさん思われること間違いありませんから、ここはどうか、「これも旅の思い出」ということで。

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電車は翌朝5時26分に姫路駅へ到着。就寝中はストップしていた車内放送が「おはようございます」の声と共に始まります。下車予定の岡山駅には6時34分に到着。この1時間を使って、下車の準備と、サイクルジャージへの着替えまで済ませてしまいます。

岡山駅へ着いたら、新幹線こだまに乗り換え、新尾道駅を目指します。岡山駅では朝ごはん用に駅弁を。旅の気分を盛り上げるのと、岡山へ来た証しを残すため(?)、名物「桃太郎の祭ずし(1,000円)」を購入。新尾道駅までは約30分あるので、その間に朝食を済ませます。

[右側写真/上から順に]

画像へ 到着が近づくと、空が明るくなってきました。冬なので暗いですが、暖かい時期には車窓から瀬戸内海が臨めます。

画像へ 岡山駅へ到着。ここで連結を切り離すので、サンライズエクスプレスと記念撮影する時間があります。

画像へ 岡山駅の構内で朝ごはん用の駅弁をゲット。一部のメニューはまだ販売が始まっていませんでしたが、売店は早朝から開いていました。

しまなみ海道は、やっぱり日本一のサイクリングコース
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めったに乗らない新幹線こだまに揺られること30分。あっという間に新尾道駅へ到着。改札を抜けたら南口へ出て、さっそく輪行を解きます。
しまなみ海道のスタートは、在来線が停まる尾道駅周辺なのですが、新尾道駅と尾道駅の距離はたった9km。だから、新幹線を降りたら輪行を解き、走って行ってしまいましょう。

ちなみに問題となるのが手荷物。

できれば1人、サポートカー要員になってもらい、車に荷物を預けるのがベストでしょう。
レンタカーは新尾道駅周辺で手配できます。

新尾道駅と尾道駅の間は国道184号を利用しますが、この道はそれほど特長のある道ではありません。廃線となった尾道鉄道の跡が少し残っているようですが、先を急ぐのでサッと移動します。

尾道駅へ到着する前に、詳細へ尾道駅前港湾駐車場 へ寄りましょう。ここで、「しまなみ海道サイクリングチケット(500円)」を買います。

しまなみ海道にかかる橋は、すべて50〜200円の通行料が必要です。
このチケットはその支払いのためのもので、橋をすべて渡ると使い切ります。現金で払ってもいいのですが、このチケットを買っておけば、いちいちお財布を開く手間が省けるんですよね。

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チケットも地図も持って準備万端。尾道駅へ一度寄って、尾道城の建つ山を見上げてみましょう。これこそが、数々の映画の舞台となった坂の町・尾道です。

画像へ [左] 尾道駅の裏に小高い山がありますが、この斜面こそがThat's坂の町・尾道。大林宣彦監督の映画「転校生」、「時をかける少女」などの舞台となった場所です。

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いよいよ、「しまなみ海道のサイクリングがスタート!」という気分になるんですが、最初の島「向島(むかいしま)」には、橋ではなく船で渡ります。

向島へは新尾道大橋という橋がかかってはいるものの、自転車歩行者道(自歩道)がなく、交通量が多いため、渡船の利用が安全、かつ便利。

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画像へ [上] 渡船で最初の島に渡ります。すぐ向こうに見えているのが、その最初の島である向島。

渡船は3本出ていますが、桟橋が尾道駅から300mほど東にある福本渡船を利用しました。

乗船料は大人60円、子ども30円。
自転車はそのまま持ち込め、持ち込み料はなんと10円!

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3分で向島へ到着するので、とっても気軽ですよね。駅前でお買い物をしたご婦人も、自転車のかごに商品をいっぱい入れて、渡船に乗っています。

船が生活の一部になっているなんて、まさに瀬戸内海! 島がたくさんあるので、移動には船が欠かせません。

広島に生まれ育った私は、大人になるまで水平線を見たことがありませんでした。瀬戸内海って、必ず視界のどこかに島が入ってしまうんですよね。それほど島が多い。「山並み」ならぬ「島並み」を、みなさんも堪能していただければと思います。

画像へ [左上] 福本渡船の桟橋で船を待ちます。自転車はもちろん、バイクや車も載せることができます。

画像へ [右上] 自転車をそのまま載せられるのがいいですね。たった3分間の船旅ですが、瀬戸内海へ来た気分が盛り上がります。

画像へ [右] 渡船から見た尾道の街。山の上には千光寺公園があり、ここから見る「しまなみ」も美しいですよ。

さて、向島は特に立ち寄りスポットはないものの、島の反対側へ行ったら見えてくる橋に感動しますよ!これが最初に自転車で渡る橋「因島(いんのしま)大橋」です。

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その因島大橋をくぐった先に、ちょっとしたスペースがあるので、ぜひそこで記念撮影を。これからこの橋を渡るのかと思いながら見上げると、またさらに感動なんです。

画像へ [右] 向島の南側に差し掛かると、因島大橋が見えてきました! しまなみ海道を尾道からスタートしたとき、最初に渡る橋になります。

いよいよ因島大橋を渡って、2つめの島・因島へ行きます。

しまなみ海道に通っている橋で、因島大橋だけは唯一、車道の下を走ります。
つまり2段構造になっていて、車と自歩道が分かれているのです。

実際に橋に上がってみると、ちょっと不思議な感覚。鉄筋の、長〜く、ま〜っすぐなトンネルを、一気に駆け抜けるのですから。こんなの、めったにない経験です。

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[左から順に]

画像へ 因島大橋は2段構造になっていて、上が車、下が自転車、原動付き自転車、歩行者用。鉄骨だらけのトンネルのようなところを走ります。

画像へ 尾道で買ったサイクリングチケットを1枚ちぎって料金所へ。因島大橋の通行料は50円。こんなステキな橋を作り、維持してくれてありがとうという、感謝の気持ちを込めて投入します!

画像へ 橋を出たところにスタンプ台がありました。「渡橋記念スタンプボックス」といって、6か所に設置してあるんだそうです。

画像へ 手持ちのノートへスタンプ。あとから知ったのですが、スタンプシートは尾道でもらえたんだそう。本州四国連絡高速道路キャラクター「わたる」が描かれています。

こうして2つめの島である因島へ到着。因島の見どころスポットは 詳細へ2008年7月の特集 で紹介しているので、そちらをご覧いただければと思います!

特に暖かい時期であれば、島に咲く除虫菊に注目です。また因島といえば、女優の東ちづるさんや、ロックバンドのポルノグラフティが生まれた島でもあるので、「あぁ、こういう島で育ったのか」と思いながら走るのもいいでしょう。