今月、私が走ってきたのは古都・奈良。遷都1300年を迎え、今、話題ですよね。
今年ぜひ走っておきたい場所のひとつです。
しかも奈良って、自転車乗りにとって嬉しい場所ってご存知でしたか?
まず奈良には3つの大規模自転車道があります。そのひとつ、飛鳥葛城自転車道は「志穂のサイクリングターミナル滞在記」でも 09年1月 に取り上げました。
また神社仏閣、古墳、旧跡…などなど、立ち寄りスポットが多いので、自転車で回ったほうが便利。さらに道が狭いので、車より小回りが利く自転車がベストなんです。
古代、「大和は国のまほろば」と言われていました。この地域は日本の中で最も優れており、理想郷だという意味です。この「まほろば」という言葉を借りれば、
奈良は自転車のまほろば
こんなふうに言ってもいいのではないでしょうか?
[上] 復元された朱雀門の前で1300年祭の説明を受けます。お話を伺ったのは平城遷都1300年記念事業協会事務局・広報室・企画員の槇田郁男さん。槇田さんも最近MTBにハマってるところ。
[下] 朱雀門は平成10年に復元されたものですが、こちら大極殿は1300年祭に合わせて復元中。幅44m、奥行19.5m、高さ27mもあって、完成すれば内部の見学もできます。
さて、そんな「まほろば」で、2つのサイクリング大会が開かれます。
1つは10月2、3日に「第54回 全国サイクリング大会 in奈良」が開催されます。 昨年、函館でおこなわれた全国大会 が、今年は奈良で開かれるのです。
またそのプレ大会として、4月11日(日)に、「奈良サイクルフェスティバル」が開催されます。
今月は、そのコースを紹介します♪
まず「奈良サイクルフェスティバル」のスタートとなるのは、平城遷都1300年祭のメイン会場。
1300年前、ここに都が置かれたという、そのものズバリの場所です。
1300年祭を記念して、第一次大極殿正殿・前庭が復元されおり、当時を思い起こさせる様々なイベントが計画されています。
平城遷都1300年祭そのものは今年の1月からスタートしているんですが、本格スタートはこのメイン会場がオープンする4月24日から。
つまり!
4月11日開催の「奈良サイクルフェスティバル」は、メイン会場グランドオープン前に平城宮を体感できるということ!
これだけでもお得な気分ですよね。
このメイン会場では、視聴覚障がい者向けのタンデムサイクリングも開催されます。詳しい日程はこの記事の最後で。
それではさっそくコースに出てみましょう。
[上] 平城宮跡・朱雀門前を出発! 「奈良サイクルフェスティバル」のコースを通って、奈良の観光スポットめぐりです。
[下] 「成務天皇陵 (左)」、「日葉酢媛命陵 (右)」の間を走ります。さすが都が置かれていた奈良。御陵が密集しています。
約30kmの今回のコースは、地元スタッフが練りに練って考えた平城京周辺コース。
できるだけ安全に走れるコース設定であることはもちろん、古都・奈良を満喫できる、見どころスポット満載のコースになっています。
平城宮跡 をスタートしたら、まず見えてくるのが、キレイに整備された松並木と、こんもりした丘のようなものが両側に見える場所。
これ、両側が御陵なんです。
左が「成務天皇陵」、右が「日葉酢媛命(ひばすひめのみこと)陵」。日葉酢媛命は垂仁(すいにん)天皇の皇后です。こうして、御陵に挟まれた道を走れるなんて、さすが奈良。
やがて次に見えてきたのは、「 奈良県営競輪場 」。
ここで特別な体験をさせてもらいました。
それは、バンクを1周走らせていただいたのです!
この競輪場は通称「3.3(さんさん) バンク」といわれ、1周が333mのコースなんだそうです。
競輪場は500m、400m、そしてこの333mのコースがあります。つまり3.3バンクはそのぶん直線距離も短くなり角度が急なため、3.3バンクなりのおもしろい勝負が見られるとか。
案内してくださったスタッフの岡田尚之さんに、「あの白い線の間を走るんですよ」と言われ、先を見ると、2本の線が1周グルッと描いてあります。
いざ走ってみると…、もう、まったくダメ!
白い線の間なんて、壁を走るようなものですよ!!
おとなしく平らなところを走ったんですが、白い線が目の高さにくるくらいなんですもの!!! 改めて競輪のスゴさを知りました。
競輪場 をあとにし、一般道を通って先へ進みます。
大和西大寺駅をかすめ、国道308号線をくぐったら、右手に池のようなものが見えてきました。
中央に島があります。
こういうものを奈良で見たときは要注意。
先ほどの丘が丘ではなかったように、こういう島は島ではありません。お察しの通り、恐れ多くも第11代・垂仁天皇の御陵です。
さらにその手前には、とても小さな島が。
こちらは、垂仁天皇に仕えた田道間守(たじまもり) の墓と言われているそうです。
さらに進むと到着したのが「
唐招提寺 」。
759年鑑真によって開かれ、国宝の建物が多くあり、1998年には世界遺産に登録されました。
…と書くと教科書的で、サラッと流してしまいそうですが、ちょっと待ってください!
スタートしてからわずか8km。
その間に御陵がいくつもあり、何気なく到着した先が世界遺産ですか!
これってちょっとスゴイかも…。奈良、恐るべし。
しかも、考えてみたら 平城宮跡 も世界遺産でした。
奈良には3つの世界遺産があって、そのひとつが「古都奈良の文化財」として指定されており、それには、 東大寺、興福寺、春日大社、春日山原始林、元興寺、 薬師寺、唐招提寺、平城宮跡が含まれるのだそうです。
世界遺産めぐりをするだけでも、奈良のサイクリングって楽しそう。
唐招提寺 からすぐのところに、川が出てきました。コースは、その脇にある細い道に入ります。こちらが奈良にある3つの自転車道の1つ「奈良自転車道」です。
これをたどって行けば、法隆寺まで行けます。
多くの大規模自転車道が、市街地から離れた海沿いや川沿いにあるのに対し、奈良自転車道は市街地を抜け、様々な名所旧跡を回るのに便利なのがいいですね。
そんなことを思っているうちに、川向こうに五重の塔が見えてきました。
こちらが、本日3つめの世界遺産、「
薬師寺 」です。
この薬師寺、もともとは698年に藤原京へ建てられたそうですが、平城遷都にともなって、この地へ移りました。
薬師寺 の向いで、コースは敷地内を通るため、ここでは自転車を押して行きましょう。
もちろん安全とエチケットのためでもありますが、みなさんがここを「奈良サイクルフェスティバル」で走る頃は、満開の桜が迎えてくれますから!
ゆっくり、じっくり楽しんでくださいね。