JCA top
トップイメージ
フリーライターの 詳細へ土肥 志穂 が サイクリングロードを実際に走っておすすめポイントを紹介します!

暴れん坊の淀川だったからこそ生まれた歴史

今月は大阪に上陸! 全国的にも有名な淀川(よどがわ)沿いを走ります。

淀川周辺は3つの自転車道があり、その内の2つ、北大阪サイクルラインと北河内サイクルラインをミックスしたルートをチョイス。

今回は、頼もしい助っ人もいます。いつも撮影を担当する田中秀宏カメラマンが、ガイド役を買って出てくれたのです。
田中さんが幼少時代を過ごした場所なので、ジモティネタ&ルート満載!

スタートは中之島にある大阪市中央公会堂。
1918年にオープンした集会施設で、辰野金吾の設計。 ネオ・ルネサンス様式を取り入れた外観は、東京近郊の方も見覚えがあるのでは?

そう! 東京駅も辰野氏の設計です。

昨年10月に中之島線が開通し、京阪電車からの乗り入れが可能に。公会堂は新しくできた「なにわ橋駅」からスグで、アクセスが良くなりました。

公会堂の前で待ってくれていたのは、デザイナーの奥野寛幸さんと後藤恵美子さん。 田中カメラマンのお友だちで、途中までご一緒してくださるそう。

人数が多いと、サイクリングは楽しいね♪

公会堂を背にして、左へスタート。鉾流橋(ほこながしばし) を渡って、右手に中之島を見る形で進みます。 見えている川は堂島川。旧淀川にあたります。

…で私たち、本当は中之島の東端を走るつもりでいたんです!

でも、先述の中之島線開通工事で、中之島に入れませんでした(泣)。今は東京住まいの田中カメラマンも、これは予想だにしなかった!

4月1日以降は工事が終わり、ルートに予定していた中之島公園へ入れるんだそう。

もし公園を抜ける場合は天神橋に上がり、公園以東のルートに合流します。
今回の場合も、中之島を通る場合も、まず目指すのは南天満公園。

桜並木が続く公園で、春が待ち遠しい! 川の名前は大川になりますが、こちらも旧淀川です。

やがて見えてきた川崎橋。

歩行者・自転車専用で、橋の上からは大阪城が!
大阪の地図がまったく頭に入っていない私は、思わぬ観光名所の出現でビックリ。

正面の天守閣から視線をちょっと左右に動かすと、大都会の風景。ちょっと不思議な感じ。

川崎橋を渡り切ると、そこは毛馬桜之宮公園。その名の通り、こちらも桜で有名な公園で、対岸には大阪造幣局が見えます。

気持のよい毛馬桜之宮公園をのんびり走っていると、目の前に今度は水門が登場。

この水門の向こうがいよいよ淀川です!

ここで、あるものを見学するために、進行方向とは逆にある淀川河川公園へ。

車止めのある門を抜け、見えてきたのは「毛馬こうもん」と書かれたデッカイ文字。

「こうもん」とは「閘門」のことで、水位の違う2つの川で、船を上下させて通航を可能にする装置です。「パナマ運河でも有名」と、 詳細へ荒川サイクリングコース を走った記事でも紹介しました。

右手には淀川大堰が見えます。

ここで淀川を堰き止めることで、大阪と兵庫の上水道、工業用水道を確保しているんだそうです。
それにしても大きい!

これらを見ながら先へ進むと、本来の目的地、旧毛馬閘門に到着。

この旧毛馬閘門について説明するためには、まず、淀川の歴史を知る必要があります。

淀川は昔、現在の大川をうねるように流れていました。

「うねるように」という部分が大問題で、「土砂が堆積する」、「洪水が起こりやすくなる」など、人々の生活をおびやかすことに。

そこで始まったのが、淀川改修工事。

川幅が充分あり、なるべく蛇行しない川を人間の手で造ったのです!

それは日本初の大規模河川改修でした。

その際に活躍したのが旧毛馬閘門。

正確には毛馬第一閘門と毛馬第二閘門にわかれていて、1976年に現役引退。

大川から淀川へ出るときに見た「毛馬こうもん」が、現在使われている閘門です。

役目を終えた旧毛馬閘門は、公園として開放されています。なんと、閘門の中を見学することも可能。

さっそく階段を降りてみました。

大きな門がその重そうな口を開けており、かなり圧倒されます。思わず「かっこいい〜」とため息をつきたくなるほど。

歴史のある建造物は、やはり違います。